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●今日は病院に行ったあと役所で手続きなどして、少し疲れました。手続き自体は簡単なものだったんですが 役所が遠けぇ!

●結局、「一刀斎夢録」文庫版は上のみ買ってきました。
ゆっくり読んで、終わったころに下を買います。
今日「一」を読みましたが、最初に読んだときは「これホントに新選組の話になるんだろうか・・・」と不安に感じたことを思い出します。
あと梶原中尉の流派が天然理心流というのをすっかり忘れていた・・・。

●以前ここでちらっと触れた、2199すすさなSSをつづきに載せておきます~
確かDVDで亜空間ゲートくらいまで見たときに、かっとなって書いたものなのでいろいろ問題あるかと思います・・・寛大なお心で読んでやってください。
最終巻のレンタル開始が待ち遠しいよ~


冷たい人だと思っていた。
いつも理詰めでものを考えて、そして、それしかない人だと。
そんな人が、なぜ、詩を読んだりするのか不思議だった。
(汚れっちまった悲しみに、
今日も小雪の降りかかる。)
その詩を読む声を聞いたとき、間違っていた、と思った。
理屈しかないのではない。
真田志郎は全てを押し殺しているのだ。・・・・・・


それ以来、古代進の耳には、何度もその詩の一節が浮かんだ。
眠る前には子守唄のように、つぶやく声を思い出した。
(汚れっちまった悲しみに、
今日も小雪の降りかかる。)
だが、―その声は自分ではない遠くの男に捧げられているのだ―という事実が、不思議に胸苦しくなる時があった。・・・切なくて、たまらなくなる時があった。

 ○

「お前、それ、副長に言ったのか?」
食事中に、古代から話を聞いた島大介は、なんとも微妙な表情になっていた。
「え?いや、言ってない。」
古代はきょとんとした目で首を振る。
「きっと、うまく説明できないと思うし、任務に支障をきたすようなことでもないしな。
それが、どうかしたのか?」
「あ、いや、いいんだ。ただ、副長には言わなくてもいいんじゃないか、と思ってさ・・・」
ほとんどささやくように答えながら、島の目は泳ぎ出し、古代は首を傾げて親友を見ていたが、
「・・・そうだな、副長も忙しい人だし、・・・ああ、それに、こういう件はどっちかっていうと、新見さんの管轄だよな。」
「・・・あ、ああ・・・そうかもな。疲れてるのかもしれないし。軽く仮眠でもとっとけよ。」
じゃあ、俺はこれで、と島は、トレーを持って立ち上がった。
古代は仕事に戻る島を見送ったあと、一眠りするために自室へ行った。

 ○

古代は、変な夢を見た。真っ暗で大きなドームのようなところで、あの詩をつぶやく真田の声を、じっと聞いているのだ。
よくよく目をこらすと、遠くの方に真田がこちらに背を向けて、座り込んでいるのが見える。あの一節を、つぶやいている。
(汚れっちまった悲しみに、
今日も小雪の降りかかる。)
(真田さん。)
古代は呼びかけた。真田の足元には本当に雪が積もっていて、制服の肩が少し震えていたからだ。
しかし真田は振り返らなかった。詩のつづきが反響した。
(汚れっちまった悲しみは、
何望むなく、願うなく、)
(真田さあん。)
(汚れっちまった悲しみは、・・・)
たまらずに古代は駆け出した。一歩真田の方へ踏み出すと、はらはらと雪が降ってきた。真田の腕をとり、立たせようとしたが、その腕が鉛のように重いのだ。
(真田さん、立ってください。向こうへ行きましょう。雪のない方へ。)
真田は動こうとしなかった。雪がどんどんひどくなる。古代は屈み込んで、真田の背中に片腕をまわした。
(さあ、立ってください。)
(放っておいてくれないか。)
真田がつぶやいた。
(このままじゃ凍死ですよ。)
(死なないさ。いつもの夢だからね。)
古代は、え、と聞き返した。
(あれを見てごらん。)
真田が示した方向に古代が目を向けると、そこにあったのは、
(・・・「ゆきかぜ」・・・)
(そうだ。あいつの船だ。)
真田は小さく頷いた。
(俺は、よく、ここへ来るよ。いつも雪が降っている。君は、ここへ来るのは、初めてかい。)
(・・・ええ。)
古代は頷き、並んで真田の隣に腰を下ろした。
(俺には、あいつが今、どこで眠っているのかわからない。だが、船は君が見つけてくれたから、俺は、ここへ来るんだろうね。)
(そうかもしれませんね。)
雪と氷におおわれた船を見上げながら、古代はふと、―これが夢なら、―と思った。
(真田さん。)
(何だい。)
(俺はずっと、言おうと思っていたことがあるんです。)
真田が頷いた。
(聞こう。)
古代は、いつの間にかからからになっていた口を、ゆっくりと開いた。
(真田さん、あのとき・・・亜空間ゲートを開きに行ったとき・・・)
(うん。)
(あなたは、兄の話をしてくれましたね。それまで一度も、話してくれなかったのに・・・
でも、真田さん、あれから俺は苦しいんだ。あなたは、きっと、俺を見ても、兄のことを思うんでしょう。・・・それが俺には辛いんだ、真田さん。・・・そうだ、きっと、俺はあなたが好きなんだよ・・・)
真田は、驚きと戸惑いの入り混じった目で古代を見ていたが、やがて、薄い唇を開いた。
(古代、・・・・・・)

 ○

「古代戦術長!休憩終わりだ、配置についてくれ。」
でかい声は、島だった。どうやら古代は、休憩時間をオーバーして寝ていたらしい。慌てて上着をはおる古代に、島は呆れ声で文句を言った。
「仮眠はいいが、アラームくらいセットしておけよな。じゃ、俺は副長を起こしてくる。」
「え、副長も寝てるのか。」
古代は驚いた。
「たぶんね。仮眠を取りに行って戻って来ない。珍しいよな、時間に正確な人なのに。」
「俺が行ってくる。」
言うなり古代は、島の返事を待たずに走って行った。


「副長!真田副長!古代戦術長、入ります!」
「入りたまえ。」
落ち着き払った返事があったのには、驚いた。てっきり、まだ夢の中だと思い込んでいたので―真田は制服の上着をはおっているところだった。
「遅れてすまないね。アラームが壊れたらしい。さっき、島に連絡を入れたら、君が来るはずだと言われたのだが、何か用だったかね?」
聞かれて古代は言葉に詰まった。寝ぼけた頭でさっきの話の続きがしたいと、そう思って、とっさに飛んできてしまったが、さっきも何も夢の話だ、真田には意味がわかるまい。
だから、少し遡って始めることにした。
「真田さん。」
「何だい。」
「俺はずっと、言おうと思っていたことがあるんです。」
真田が、眉をぴく、と動かした。
「聞こう。」
「真田さん、あのとき・・・亜空間ゲートを開きに行ったとき・・・」
「古代、」
ふと真田が片手をあげて、続く言葉を制した。
「なんでしょう。」
「さっき、」
真田の目は、面白がっているようにも見え、不思議がっているようにも見える。
「夢で、会ったかな?」

宇宙では、不思議なことがよく起こる。

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本とマンガ(特にハリー・ポッターシリーズと、南国少年パプワくんなど)が好きな管理人のブログです。数年前に精神をわずらい、治療をつづけています。
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